はじめに
コーチングは「アート」である
この言葉はエディー・ジョーンズ(ラグビー元日本代表ヘッドコーチ、現イングランド代表ヘッドコーチ)が好んで使っている言葉です。
私はこの言葉を聞いた時にとても衝撃を受けたことを覚えています。
それ以来、彼のコーチング手法に興味を持ち、書籍などを通じて学ばせていただいております。
本記事では、エディー・ジョーンズのコーチングに対する考え方と、
私が大好きなサッカー監督であるペップ・グアルディオラがみせた「アート」を紹介したいと思います。
コーチングは「アート」である
「スポーツ」と「芸術」
一見すると対極にあるようにも思える言葉ですが、エディー・ジョーンズはコーチングという抽象的な概念の中にこそ「アート」が潜んでいるといいます。
どういうことなのでしょうか?彼の言葉を引用してみたいと思います。
「選手1人ひとりにとって、何が必要なのか、それを見極めるのがコーチングにおける『アート』なんです。
選手個々の能力を引き出すためには、どのようなコミュニケーションを取るべきなのか。
それこそ数限りないケースが考えられるわけです。その見極めにこそ『アート』が生まれる余地があります。
引用元:生島淳『エディー・ジョーンズとの対話 コーチングとは「信じること」』P.16
いかがでしょうか?
このことはビジネスの世界に当てはめてみても、そのまま使えると思います。
スポーツコーチングと同様に、ビジネスにおけるコミュニケーションでも
「社員1人ひとりの特徴や個性を見極めて、強みを最大限引き出すようなコミュニケーション」が
上司・マネージャーには求められているのではないでしょうか?
私はビジネスの現場においても『コーチングは「アート」である』という考え方が広まってほしいなと考えています!
この考え方が浸透すると、社員がイキイキと働ける職場が今よりももっと増えてくると思います。
ペップ・グアルディオラがPK戦でみせたアート
私が大好きなサッカー監督の1人にペップ・グアルディオラ(マンチェスター・シティー)という人物がいます。
驚いたことに、ペップとエディー・ジョーンズは互いに親交があり、実際に練習や指導法を見学することもあるそうです。
この2人がつながっていると知り、私自身すごくワクワクしました!
やはり、“卓越した”ヘッドコーチ同士で通ずるものがあるのかもしれません。
上記で紹介した書籍の中で「ペップがアーティストである」というエピソードが紹介されています。
2013年のヨーロッパ・スーパーカッブ決勝のチェルシー戦、
延長戦でも決着がつかずPK戦にもつれこんだ際のピッチで
ペップは選手たちにどのような行動や声がけをしたと思いますか??
優勝がかかった試合のクライマックスです。
私が選手の立場ならチーム一丸となり、モチベーションを高めてくれるような熱いスピーチを期待すると思います。
しかし、ペップは違いました。
『私はPKの蹴り方を知らない。だから人生で一度も蹴ったことはない。しかし、ここに世界一のPKの名手がいる』
そのとき、グアルディオラはオリンピックの水球の金メダリストで、バイエルンのスタッフになっていたマネル・エスティアルテにアドバイスを求めたという。
水球では、試合におけるペナルティーシュートの持つ意味合いが大きく、それだけ研究も進んでいた。
そして、ポイントをふたつに絞って、選手たちに水球から学んだアドバイスをした。
「ひとつは『ペナルティスポットに行くまでに、どこにキックをするかを決めること』。そして一度決めたら、歩いていく間にそれを絶対に変えてはいけない。
そしてもうひとつは、『絶対に入ると自分に言い聞かせる』ということ。
選手にそれだけ伝えると、『誰が蹴るのか、順番も自分たちで決めていい』と言ってペップはベンチに戻ってしまった」
(中略)
このペップのとった方法は極めてユニークでありながら、真に有効な手法だという。
「自分はお前たち(選手)を信頼している、というメッセージを伝えることに成功しているからです。
これこそがコーチングにおける『アート』です。
引用元:生島淳『エディー・ジョーンズとの対話 コーチングとは「信じること」』P.22-23
どうしても空気感をそのまま伝えたくて、文章を引用するとかなり長くなってしまいました。。
ペップがみせたコーチング(アート)、、、めっちゃかっこよくないですか!?
(そもそもチームスタッフに水球の金メダリストがいる時点ですでに驚きですが、、、)
特にサッカーファンの方なら分かってくれると思います(笑)
こんな演出をされると絶対に選手は燃えますよね!!(※もちろん結果は5人全員がPKを成功させ、優勝しました)
まとめ
卓越したヘッドコーチの習慣(コーチングスキル)、いかがでしたでしょうか??
ペップのPK戦でのエピソードのように、
【カギとなる場面で意外性のある言葉をかけることで選手に自信をもたせる】
ということは、ビジネスでもうまく活用できるのではないでしょうか?
大きなプロジェクトを抱えプレッシャーを感じている部下に対して、上司はどのようなコミュニケーションを取れば良いのか?
ペップのエピソードにはビジネスコーチングにおけるたくさんのヒントが隠されていると思います。
私もコーチングを学び日々実践中の身ですので、ペップのエピソードを胸に刻んで成長していきたいと思います!
最後までお読みいただき、ありがとうございました!!